持続的生産活動を実践する優良経営体の世界共通のキーワード
GAP普及推進機構/GLOBALG.A.P.協議会のWEBサイトへお越しくださり誠に有難うございます。ここでは皆様から寄せられるご質問への回答を中心に、GLOBALG.A.P.(グローバルギャップ、グローバルGAP、GGAP ※)の概要について説明させて頂きます。
※ 読み方を分かり易くするため、いくつかの言葉で表現していますが正式名称は、GLOBALG.A.P.(GLOBALとG.A.P.の間にスペースは入りません)となります。
【もくじ】(更新日:2024/4/6)
1. グローバルギャップとは何ですか?
2. GLOBALG.A.P.の実践でどんなメリットがありますか?
3. GLOBALG.A.P.を調達基準にしている会社はありますか?
4. GLOBALG.A.P.で管理する事項は何ですか?
5. GLOBALG.A.P.は本当に必要ですか?
6. 第三者認証とは何ですか?
7. GLOBALG.A.P.実践の段取りを教えてください
8. GLOBALG.A.P.認証の種類を教えてください
9. 内部監査員になるにはどうすればよいですか?
10. 内部検査員になるにはどうすればよいですか?
11. コンサルタントになるにはどうすればよいですか?
12. GLOBALG.A.P.の審査員になるにはどうすればよいですか?
1. グローバルギャップとは何ですか?
G.A.P.(ギャップ) とは、GOOD(適正な)、AGRICULTURAL(農業の)、PRACTICES(実践)のことです。GLOBALG.A.P.(グローバルギャップ)認証とは、それを証明する国際基準の仕組みを言います。
世界130か国以上に普及し、事実上の国際標準となっています。
欧米の大手小売をはじめ、最近では日本の小売でもGLOBAL G.A.P.などの国際認証を取得した生産者からの仕入れを優先しています。
GLOBALG.A.P.認証は、食品安全、労働環境、環境保全に配慮した「持続的な生産活動」を実践する優良企業に与えられる世界共通ブランド。取引先の信頼性向上、貴社の企業価値向上に貢献します。
2. GLOBALG.A.P.の実践でどんなメリットがありますか?
GLOBALG.A.P.は、農業生産者が、安全で持続可能な農業を実践し地域経済に貢献するための羅針盤として、またトレーサビリティ担保による取引先や消費者の信頼性、透明性確保の手段として活用されています。
GLOBALG.A.P.の実践により、産地として以下のメリットが期待できます。
●販路拡大(国内および海外への輸出、海外からのインバウンド対応に)
●経営改善(生産工程の明確化で生産性の向上、資材コストの削減)
●教育効果(新人・外国人労働者への効果的トレーニング、意識向上に)
●リスク管理(生産者としての責務、緊急時のリコール体制確立に)
3. GLOBALG.A.P.を調達基準にしている会社はありますか?
イオン、コストコ、マクドナルド、テスコ、ウォルマートなどがGLOBALG.A.P.をグローバルな調達基準として採用しています。地域ごと調達基準がバラバラでは多重管理になり、供給側も調達側も結局コストアップになってしまうからです。
例えば欧州ではほとんどのスーパーマーケットがGLOBALG.A.P.を調達基準としています。欧州のスーパーマーケット市場占有率は6-7割と言われています。端境期や天候不順などで認証農産物が一時的に不足することもありますが、グローバルな調達基準ゆえに世界から調達することも可能です。
4. GLOBALG.A.P.で管理する事項は何ですか?
例えばGLOBALG.A.P. Version5 の野菜・果樹認証における管理点は 218あり、食品安全99項目、トレーサビリティ22項目、作業従事者の労働安全と健康28項目、環境(生物多様性を含む)69項目となっています。持続的生産活動を目指す優良企業が実践すべきチェック項目が、バランスよく配分されています。
また、2024年から運用開始した Version6 では管理点が190(SMART版 野菜・果樹認証の場合)となり、要求事項が整理され活用しやすくなっています。
5. GLOBALG.A.P.は本当に必要ですか?
・国産は安全だから必要ない? ・・・いくら本人が説明しても受け入れられません。他の産業含め、既に世界は安全への取り組みを第三者で証明する時代です。
・GAPをやれば高く売れるのか? ・・・安全だから高く買う文化でない限り(安全は当たり前である限り)、売価に結びつくものではありません。取引先・消費者からの信頼性確保・優先的取引に結び付くものです。
・GAPをやれば作物品質を証明できるのか? ・・・GAP認証は企業の生産活動を認証する仕組みで、作物品質を証明する以前のベース認証として必要になります。
・チェックリストを実施すれば良い? ・・・チェックリストは手段であり、要求事項の本質を理解しなければ取り組む意義も半減してしまいます。なぜその要求事項が国際標準として必要なのか、全員が理解し説明出来るようになるための企業内研修プログラムとして、GLOBALG.A.P.は役立ちます。
6. 第三者認証とは何ですか?
・自社で生産物や製品を確認すること → 第一者認証
・取引業者など利害関係ある二者間で行われる → 第二者認証
・認証機関などの第三者から認証を受けること → 第三者認証
となります。第三者認証によって、社会的な信頼獲得、第三者視点での問題発見、継続的改善を実現します。これは自社が毎年毎年良くなっていくことを意味しており、企業価値の向上に貢献します。
※ GLOBALG.A.P.は優良経営体を認証する仕組みで、優良商品を認証する仕組みとは異なります。
7. GLOBALG.A.P.実践の段取りを教えてください
1.基礎知識学習のために、テキストや、各種セミナーをご利用ください。
(テキスト例) https://www.ggap.jp/?p=155
(セミナー例) https://www.ggap.jp/?p=141
(各社研修例) https://www.ggap.jp/?p=583
2.GLOBALG.A.P.基準文書(日本語版)は無償公開していますのでご利用ください。
(基準文書) https://www.ggap.jp/?p=78
まずは一般規則、原則と基準(Ver.6の呼び方)/管理点と適合基準(Ver.5.2の呼び方)からご覧ください。
3.基準文書の構成(バージョン6から構成が大きく変わりました)
(Ver.6)
青果物、コンバイン作物など品目ごとにドキュメント集約されました。
SAMRT版(一般生産者向け)、GFS版(GFSI認証対応必要な生産者向け)があります。
●GGAP Ver.6 青果物 項目数
上位の義務 SMART版103 GFS版118
下位の義務 SMART版67 GFS版53
推奨 SMART版20 GFS版20
計 SMART版190 GFS版191
(Ver.5.2)
カテゴリ別(全農場共通AF、コンバイン作物CB、青果物FVなど)に分かれています。
●GGAP Ver.5.2 青果物 項目数
上位の義務 AF30 CB 27 FV35 計 92
下位の義務 AF21 CB 76 FV17 計114
推奨 AF 7 CB 5 FV 3 計 15
計 AF58 CB108 FV54 計220
(FVの1項目に二者択一があるため合計値が1少ない)
●GGAP Ver.5.2 コンバイン作物 項目数
上位の義務 AF30 CB 27 CC27 計 84
下位の義務 AF21 CB 76 CC13 計110
推奨 AF 7 CB 5 CC 4 計 16
計 AF58 CB108 CC44 計210
それぞれの要求事項に対し、ご自身の農場で具体的に何を取り組まないとならないのか想像がつかない場合、コンサルタントにご相談ください。
(コンサル一覧)https://www.ggap.jp/?p=93
4.取り組みを認証してもらう場合、初回審査は原則収穫期である必要があります。また要求事項の中の上位の義務は100%、下位の義務は95%を満たす必要があります。コンサルタントと相談のうえ計画的な取り組みをおすすめします。
8. GLOBALG.A.P.認証の種類を教えてください
GLOBALG.A.P.認証には以下の種類があります。
(1)オプション1:個別認証
・・・個人生産者・小規模生産グループ向け
(2)オプション1:個別認証(マルチサイト)
・・・個人生産者や1つのJA・農業法人が複数の生産地を持つ場合
(QMSという内部管理ルールの運用有無を選択可)
(3)オプション2:グループ認証
・・・JA・生産法人がグループメンバーをまとめて申請
(内部監査員・内部検査員を確保しQMSの内部運用が必要)
どの方法で認証取得を目指すかは、取り組む人数や園地の規模に依存しますので、コンサルタント・審査会社などにご相談ください。
9. 内部監査員になるにはどうすればよいですか?
内部監査員の要件は以下の通りです。
1.以下のいずれかに該当すること
①高卒より上(大学農学部、農業短大、農業大学校等)の農業関係学歴保有
②農業高校卒+卒業後2年間の農業実務経験
③高卒+卒業後2年間の品質管理実務経験+3年間の農業実務経験
2.QMS(品質マネジメントシステム)に関する内部監査員トレーニングコース(最低16時間)を修了すること
3.HACCP・食品衛生に関する学歴保有、もしくはコーデックス規格の原則に基づく公式トレーニングを修了すること
4.農薬(植物防疫)・肥料・IPMに関する学歴保有、もしくは専門家・専門機関によるトレーニングを修了すること
※ 内部監査員・内部検査員は外部委託も可能
10. 内部検査員になるにはどうすればよいですか?
内部検査員の要件は以下の通りです。
1.以下のいずれかに該当すること
①高卒より上(大学農学部、農業短大、農業大学校等)の農業関係学歴保有
②農業高校卒+卒業後2年間の農業実務経験
③高卒+3年間の農業実務経験+認証に関連する研修への参加
2.検査の基本に関する実務的な研修1日以上
3.有資格者(内部検査員・認証機関)が実施する審査への立ち合い2回以上
4.有資格者(内部検査員・内部監査員・認証機関)によるシャドウ審査1回以上
5.HACCP・食品衛生に関する学歴保有、もしくはコーデックス規格の原則に基づく公式トレーニングを修了すること
6.農薬(植物防疫)・肥料・IPMに関する学歴保有、もしくは専門家・専門機関によるトレーニングを修了すること
※ シャドウ審査=「有資格者と一緒に審査を行うこと」かつ「有資格者と同じ審査結果を出せること」
11. コンサルタントになるにはどうすればよいですか?
コンサルタントは、概ね内部検査員相当の資格が求められます。
資格相当の知識、指導実績が備わっていれば、コンサルタントを名乗ることが出来ますが、それぞれの農場運営が円滑に行われるために、基準文書の行間を読み取り、現場実態と調整するノウハウが求められます。
また、GLOBALG.A.P.の最新情報を把握しておく必要がありますので、一般社団法人GAP普及推進機構へのご連絡をお願いします。
12. GLOBALG.A.P.の審査員になるにはどうすればよいですか?
GLOBALG.A.P.の審査員になるには、認証機関への審査員としての応募・登録が必要です。
審査員には次の2種類があります。
(1)個別認証・グループ認証の農場審査を行う者=検査員
(2)グループ認証のQMS事務局審査を行う者=監査員
(1)検査員の要件は以下の通りです。
1.学歴・実務経験が以下のいずれかに該当すること
①高卒より上(大学農学部、農業短大、農業大学校等)の農業関係学歴保有+ 3年間の農業実務経験(3年の内2年は卒業後の実務経験とする)
②高卒より上の食品関係の学位+4年間の農業実務経験
2.検査の基本に関する実務的な研修1日以上
3.HACCP・ISO22000に関する学歴保有、もしくはコーデックス規格の原則に基づく公式トレーニングを修了すること
4.農薬(植物防疫)・肥料・IPMに関する学歴保有、もしくは外部の教育機関によるトレーニングを修了すること
5.食品衛生に関する学歴保有、もしくは外部のトレーニングを修了すること
登録する認証機関に応募し、上記要件の書類審査、面接などに合格した後に、次のトレーニング受講が必要です。
6.GLOBALG.A.P.オンライントレーニング修了
7.認証審査への立会い1回
8.認証機関立会いによる実地審査の見きわめ試験
認証機関はこの他、採用にあたって独自の要件を設けている場合があります。詳細は審査員応募の際、認証会社に確認下さい。
(2)監査員の要件は以下の通りです。
1.学歴・実務経験が以下のいずれかに該当すること
①高卒より上(大学農学部、農業短大、農業大学校等)の農業関係学歴保有+ 3年間の農業実務経験(3年の内2年は卒業後の実務経験とする)
②高卒より上の食品関係の学位+4年間の農業実務経験
2.HACCP・ISO22000に関する学歴保有、もしくはコーデックス規格の原則に基づく公式トレーニングを修了すること
3.食品衛生に関する学歴保有、もしくは外部のトレーニングを修了すること
4.農薬(植物防疫)・肥料・IPMに関する学歴保有、もしくは外部の教育機関によるトレーニングを修了すること
5.ISO19011に基づくトレーニング合格
6.QMS審査経験 最低10日間
登録する認証機関に応募し、上記要件の書類審査、面接などに合格した後に、次のトレーニング受講が必要です。
7.GLOBALG.A.P.オンライントレーニング修了
8.認証審査への立会い1回
9.認証機関立会いによる実地審査の見きわめ試験
10.GLOBALG.A.P. QMS Auditor Training
認証機関はこの他、採用にあたって独自の要件を設けている場合があります。詳細は審査員応募の際、認証会社に確認下さい。